母乳育児支援と乳房マッサージ
鍼灸
2022年12月16日(金)
鍼灸マッサージ学科3年生を対象に「母乳育児支援と乳房マッサージ」の特別授業が行われました!
担当は看護学科教員で総合周産期母子医療センターでの勤務経験を持つ、助産師の松田美穂先生です。
鍼灸マッサージ学科では、特殊マッサージとして、実技の教科書にも「乳房マッサージ」が紹介されています。しかし、実技と留意点だけでは不十分・・・
国家資格のあん摩マッサージ指圧師が「乳房マッサージ」を実施するにあたり、母乳に関する専門的知識を持ち、母乳育児支援のさまざまについても良く理解したうえで施術ができるようになることを目標としています。
授業では母乳に関するトピックからスタート!
2017年の日本母乳バンク設立から、液体ミルクの販売、母乳栄養とアレルギー疾患について、産後1年間母乳のみで育てる母親は5割・・・など 知らないこともたくさんありました。
「なぜ、母乳が良いか?」
- 母乳は栄養素が豊富で免疫力が高くなる・・・これは何となく知っていることですが、母乳で育った赤ちゃんは疾患に罹患しにくいこと、愛着形成や発達の促進に影響すること、そして母体へのメリット(身体と心)があることを学びました。
- また、母乳育児と小児肥満、糖尿病の関係、母乳育児と生活習慣病との関連を知り、母乳の免疫がいかにすばらしいかをあらためて知りました。
「母乳育児支援について」
- 授乳にあたって大切な「ポジショニング」(母子がリラックスできる適切な姿勢)と「ラッチオン」(赤ちゃんが効果的におっぱいを含んでいること)を3DCG映像や写真でポイントをわかりやすく教えていただきました。
- ポジショニングのポイントとして、無理な姿勢でないこと、お母さんと赤ちゃんの体が密着していること、赤ちゃんの頭と体がまっすぐであること、お母さんが前かがみでないこと、赤ちゃんがおっぱいの高さに引き寄せられているなど・・・抱き方を含めて、とても勉強になりました。
「トラブルとケア」
- おっぱいの緊満感
- おっぱいの緊満とはどのような状態か、また、それが続くとどうなるか、産後の時期に合わせたアドバイスとケアについて乳房モデルを使って松田先生のデモンストレーション。
- 基底部のマッサージ、乳管開通法など、指の当て方や押す方向まで具体的に教えていただきました。
- 乳房マッサージを施すにあたり、ここは大事なポイントで経験や技術が要ります。
- 乳腺炎ケア
- 乳腺炎のおもな原因と予防、診断の目安と症状、非感染性乳腺炎のケアについても最新のフローチャートを見ながら丁寧に説明していただきました。
- 「所見や症状からは感染性乳腺炎と非感染性乳腺炎の鑑別はできない」ということで、感染性乳腺炎を疑うケース6つはとても参考になりました。
- 授乳中の女性がよく遭遇する疾患ですが、予防が可能なので、あん摩マッサージ指圧師にもアドバイスできることがありますね。
- 母乳に関わるホルモン
- 生理学でも習った、母乳を作るホルモン“プロラクチン”と母乳を出すホルモン「オキシトシン」・・・試験にもよく出るところですが、今回は母乳育児支援の角度からあらためて勉強する機会となりました。
- 射乳反射を促すケア
- 松田先生のご経験からも、射乳反射を促すケアとして背部のマッサージが有効で、肩甲骨からしっかりと肩を回してほぐす動きを取り入れると良いとのことです。産後のケアとして、身体的、精神的不調をマッサージで上手に緩和できるよう、これからも技術も高めてまいります。
- また、新しい生活様式に即したケア(母乳は感染性物質として扱う)にも医療人として気をつけてまいります。
四国医療専門学校では学科の交流があり、専門分野の経験豊かな教員から直接ご指導いただく機会がたくさんあります。
四国医療専門学校ならでは授業です!!
松田美穂先生、今回も有意義な授業をありがとうございました