臨床判断モデルを用いて「暮らしを支える看護」の思考を磨く
4月21日、看護学科4年生は「臨床判断演習Ⅱ(地域・在宅)」の授業で事例演習を行いました。
臨床判断とは「患者のニーズ、気がかり、健康問題について解釈をしたり結論を出すこと、また行為を起こすか起こさないかの判断、標準的な方法を使うか変更するかの判断、患者の反応から適切にその場で考え出して行う判断」1)のことを指します。
1)三浦友里子.臨床判断ティーチングメソッド.医学書院,2021,28p
今回の演習では、レビー小体型認知症を抱えながら、ご主人と住み慣れた自宅で暮らす療養者の事例に取り組みました。学生たちは、訪問前の事前情報から「前回の訪問時と変わったことはないか」「今日はどのような状態が予測されるか」を話し合い、タナーの臨床判断モデルを活用して思考を巡らせていきます。単に疾患を見るのではなく、これまでの療養者の人生やご家族との絆といったナラティブ(物語)を大切にしながら、訪問の準備を整えます。

事例検討では、あえて情報を段階的に提示する手法を取り入れました。
「反応の鈍さ」「飲み忘れられた薬」など、変化する現場の状況に対し、学生たちは「なぜ今、この状態なのか?」「ご家族に何が起きているのか?」と、根拠に基づいた分析を重ねていきます。
シミュレーション演習では看護師役、療養者役、ご家族役に分かれ、実際のケアを実践しました。



実際のケアの場面では、マニュアル通りにはいかない「相手の反応」に応じた判断が求められます。学生たちは、療養者役や家族役の学生と対話を重ねる中で、「この声かけで安心感を与えられるか」「今の体調でこのケアは安全か」と試行錯誤しながら、1つひとつの実践に真剣に向き合っていました。


各グループの発表の時間には、実践したケアの内容やその根拠を共有しました。
1つの正解を求めるのではなく、クラス全体で意見を交わし合うことで、「医学的な安全」と「その人らしい暮らし」を両立させるための看護のあり方について、より一層学びが深まる貴重な時間となりました。