特別講座「MOXATH(モクサス)~もぐさ燃焼解析システム~」
鍼灸マッサージ学科・鍼灸学科1部の3年生を対象に、株式会社チュウオーの代表取締役 今里秀俊様と上田憲一様を講師にお迎えして、お灸の授業を行いました。
灸熱の活用の幅を広げていくために、鍼灸師の技術向上は必須です。
もぐさの燃える温度を測っても意味がなく、お灸の熱が何℃で、皮膚面では何℃になっているのか?どのくらいの刺激を与えているのか?そもそも人体は、どれくらいの熱量を吸収するのか?皆さん、ご存知ですか?
灸施術が患者の体にどのくらい刺激量を与えているのかを知ることはとても大切です。お灸の研究や長年にわたり商品を開発してこられた株式会社チュウオーの方からの講義は興味深く、大変勉強になりました。
ジュールの意味(あなたのお灸はどれだけの仕事をしたかということ)、熱伝導率、比熱、温熱療法が効くメカニズムや温度と効果の関係等についても詳しく教えていただきました。
そして、お灸の熱が何℃で、どのくらいの刺激を与えているのか客観的に確認するために作られたのが「MOXATH(モクサス)~もぐさ燃焼解析システム~」です。
MOXATHは、熱量と刺激量をグラフで可視化し、感覚でやっていたことを目に見える形でデータ化することで技術の確認・比較が可能です。
学校でMOXATHを備えていますが、株式会社チュウオーの方から直々に講義いただける機会なんてそうありません。
3年間練習してきたお灸の技術をMOXATHによって客観的に確認することで自信になった学生もいれば、思っていたより熱量が高かったり、低かったり、グラフをみてショックを受ける学生も見られました。今回、現在の個々の技術力を確認できたことはとても良い経験になったと思います。
また、お灸による温熱が健康に良いことはわかっているが、「火を使う・煙が出る・匂いが気になる」など住環境の変化に伴う要因により、お灸をする治療院が減ってきているのも現状です。
「火を使わず、煙を出さず、匂いも出さず」に灸熱の良さを再現できないかと考えた結果、「誰でも、どこでも、簡単に一定の熱量を出すことができる」「どこでも手に入れることができる乾電池を使う」といいた電子温灸器が生まれました。
今回も複数のタイプの電子温灸器(バンシン、一灸)を体験しました。温度切替が1~3段階できるものもあり、ワンクリックでどれくらいの熱刺激を与えられるか一目瞭然です。
同じ熱刺激量でも部位(ツボ)によって感じ方が違うことを体感できました。
最後にマイクロウェルダー(磁気温熱治療器)の体験です。
体験中の学生たちは温かくリラックスして眠たくなっている様子でした。
学生や私たち教員もとても勉強になる有意義な時間となり、これからの治療に活かしていきたいと思います。ありがとうございました。