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459のわ!

鍼灸マッサージ学科・鍼灸学科

ハーギス 茜
ハーギス 茜
平成27年度 鍼灸マッサージ学科入学
テーマ:『臨床実習に向けて』
最終学年ではいよいよ臨床実習が始まります。「実習は厳しい」と先輩からも聞かされていますが、この学校を選んだ大きな理由のひとつが実習の充実さだったので、気合いを入れてがんばろうと思います。そして、一年後にはきっちりと鑑別ができ、安全な技術を行える資格者になって、母が「鍼灸マッサージ師取ってよかったね」と言ってくれるような治療家になりたいです。

私が施術の世界に足を踏み入れたのは、父が突然の脳内出血で倒れて半身麻痺になったことがきっかけでした。当時大学2年生だった私は、大学を最後まで出て欲しいという母の反対を押し切って学校を中退し、部活のOBが経営していた整体院で足ツボマッサージなどを習いながら父親のリハビリを手伝っていました。修行は朝7時~夜10時まで半年間無給という条件でした。往復2時間の整体院に通い、院長の行う手技をこっそり盗んだり、練習したり、自分で本を読んで調べたりというような昔ながらのやり方を毎日続けました。休みの日もセミナーやお店の掃除があり、気がつくと半年以上休みのない時もありました。今思うとブラック企業だったなぁと思いますが、やりたいことをやっていたので当時は特につらいということは感じませんでした。その7年後に独立開業をしたのですが、整体屋として施術をすればするほど『もっとたくさんの知識を学びたい、治療の技術を学びたい』という気持ちが溢れてきました。そこでまず、骨折や脱臼を治す柔道整復師の資格を沖縄の学校で取りました。そして、資格についていろいろな事が分かってきました。
私が鍼灸マッサージ師を目指した理由として、まず『整体「師」』という資格はないということがショックでした。「師」という資格はあん摩マッサージ指圧師など国家資格に合格した人にのみ与えられる資格であり、いくら厳しい修行をしたからと言っても整体屋をしていた私は無資格者でした。
ですので『マッサージ』という言葉も整体屋は使ってはいけません。『マッサージ』はあくまでも『あん摩マッサージ指圧師』の資格を持つ人が許可されている行為であり、私が以前学んでいた「足ツボマッサージ」は使ってはいけない言葉でした。
しかし、大学時代の友人を始め、一般の方にはなかなか伝わらない部分もありました。「マッサージと整体ってどう違うの?」など、マッサージというブランド名が強すぎて違いをうまく説明することができずにいました。


そんな中、麻痺から回復しつつあった父が大好きなお酒を再開し、脳幹という呼吸などを司る大切な場所から出血を起こして他界しました。私はもっと父にできることは無かったのかと思うと同時に、介護をがんばってきた母を見ていて、症状のある本人だけでなく、介護する家族も楽になれるような治療ができる人になりたいと思いました。そこで、神経そのものに対してアプローチができる鍼灸師と、凝り固まった筋肉を優しくほぐすことができるあん摩指圧マッサージ師とを両方目指せる四国医療専門学校に入学を決めました。
 
勉強は整体屋の頃と比べ内容が濃密で、国家試験に出る内容だけでなく実践的なこともたくさん学びます。そのためほとんど毎週がテスト漬けで、座学はもちろんのこと実技でも試験が行われます。自分はこんなにも物覚えが悪かったのか…とこの道を選んだことをうっすらと後悔する時もあります。でも同じ社会人組も、高校から上がってきた現役組もとても仲が良いので「今、目の前にあることをひとつひとつやろう」とお互いに支えあいながら日々の勉強をがんばっています。
先日の授業中、ある先生が私のずっと抱えてきた疑問に、ひとつの回答を出してくれました。「資格を持つということは、治せる技術があるということじゃない。この患者は自分が施術していいのか、病院で検査が必要な疾患なのかの鑑別ができるということだ」その言葉に私はとてもすっきりしました。いくら技術があっても病院に送るべき患者さんを中途半端な知識や技術で下手に治療して、取り返しのつかないことになってしまっては元も子もありません。座学も実技も大変ですが、それは技術以前に、鍼灸マッサージ師が対応していいのかどうかを判別し、その後安全な施術を行うための必要な学びなのだと改めて背筋が伸びる思いでした。


2017年2月